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第1部 三章【護りのミサト!】その6 第三話 ユキ、迂回する

ผู้เขียน: 彼方
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-12-11 18:30:00

82.

第三話 ユキ、迂回する

 ユキは恐怖心を押し殺して卓に着いた。

(落ち着け、今ここを乗り切る事が出来る可能性があるのは私しかいないんだ。カオリが到着してない今、私に全てがかかってる。落ち着け、落ち着け……)

スウゥー…… フゥーーー……

(よしっ!)

「よろしくお願いします」

「よろしくな、嬢ちゃん。いい麻雀を期待してるぜ。まあ、おれらは3人グルになってやっつけるけどな。ハハハ!!」

「……すいま……せん」ミサトが店員さんに声をかける。

「はい、お呼びですか」

「あの、あの子の後ろで見てたいんだけど…… 今のこの状態で背もたれのない丸椅子に座るのはちょっとしんどいんです…… 隣の卓の椅子を使わせてもらって…… いいですか?」

「ああ、そんな事! もちろん大丈夫ですよ。お客さんが来店して混んできたらどいてもらうかもしれませんけど。いまの所大丈夫なんで! でも、寝てなくていいんですか? だいぶ具合悪そうですよ」

「このあと地獄に落ちるかどうかを賭けた…… 瀬戸際の半荘です。せめて、すぐ後ろで応援したい……!」

「そうですか…… それならせめて私からも祈らせてもらいますね。井川さん達が勝つようにって」

「あれ……? 私を知ってる人……?」

「当たり前じゃないですか! 財前姉妹ばかり名が売れてるけどその決勝戦にはいつだって井川ミサトがいました。あなたは地元のスーパーヒーローです。知らない方がおかしいよ」

「そうなんだ…… (一年しか住んでないのにすごいな)そしたら、あとでサインしてあげるね」

「ええっ!? 良いんすか!」

「いいよ。お名前聞いていい?」

「尾崎光太(おざきこうた)です」

「尾崎さんね。私からのサインがフーゾク嬢からのサインにならないことを祈ってて」

「どういう意味ですか?」

「負けたらその負け額はあの人たちが経営に関わってる風俗店で身体はって働いてお金を返すって約束なの。鬼のように高いレートでいま人生賭けてる最中なのよ…… ゲッホ!! ゴホッ! なのに、このザマで。……参ったわ。ほんとに」

「ええっ! なんでまたそんな勝負をするんですか?! それにあの2人は伍麺斉の斉田夫妻でしょう、この勝負になんの関係があるんです?」

「あの2人の店を守るには私たちが…… 勝つしかないの」

 ミサトはコウタに詳しい話を聞いてもらった。この尾崎コウタというスタッフはとても話しやすかったのだ。

「……なにそれ、井川さん達は関係ないじゃないか。お人好しにも程がありますよ! あーあ、そんな話聞いたらおれも助けてあげないと男じゃないなあ」

「え? いやいや、いいってば。そんなつもりで話してないから」

「もし、あなたがどんな風俗嬢にされてもおれが何度も何度も買います。そんで、手は出さないで今みたいに話だけする。そう約束しますよ。できることはそれくらいかな。全部守ってあげることはできないけれど……嫌な時間は減らしてあげれる。他にも出来ることを思い付いたら必ず実行します」

 それはミサトのために何十万も捨てる覚悟だと宣言したようなものだった。コウタのその気持ちにミサトは少し感動した。

「……ありがとう、その気持ちだけで充分よ。それより、今はユキを応援しないと……!」

「そうですね。肩貸しましょうか?」

「大丈夫、もう自分で歩けるから」

「リーチ」

 ユキの後ろに座ると場面は東4局。ちょうど南家の安岡からリーチが入った所だった。親はユキ。

南家

安岡捨て牌

北⑦②七23

四(リーチ)

 それを受けてユキの手牌はこう

親番ユキ手牌(切り番)

二二三三赤伍伍六七八九⑧9東東

 ドラは四。東はまだ場に出てきていない。大抵の人は⑧切りでとりあえず形をキープしそうな手だった。しかし!

ユキの選択

打東!

 ユキはここでダブ東の対子落としで迂回したのであった。

 ――はたして、ユキの迂回の理由とは?

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